職人の社会的地位が高いからその技術の継承が日本という国を形作っていましたがどうやら変貌してきているようです

ロゴス(LOGOS)

そんな夏フェスいらねえよ

フェスと日本社会は切っても切れない関係

きっかけは銀英伝

あまり本は読まない口ですが、子どもの時分に読んだ銀河英雄伝説で気になる記述があったのをよく覚えています。
それは戦争が長引くことによって若年層が兵役に就くことで社会インフラに熟練した職人がいなくなり公共サービスの質が悪くなってきた、という記述です。
当時の日本はバブル前の更に前、ベルリンの壁の崩壊前の世界であり、日本国がしっかりとした存在感を世界に示せているある意味絶頂期にさしかかるような時期でした。
そんな時代に公共サービスの質が悪くなるなんて考えもつかない表現だったので驚いた、というか子ども心に全くピーンと響かなかったのですが、響かな過ぎて逆に印象深い一文となっていました。
折しも国鉄が民営化が象徴するように公共施設人材の応対が格段に良くなっていた時期でもありましたし、こんなことが日本では起こるわけがない、なんて日本全体で驕り高ぶっているような気配さえありました。
未だに日本の家電は世界一、なんて言い切る老人がいるのがそれの名残といえますね。
公営民営問わずお客様は神様です!な対応されて当たり前というのが日本社会であるといえますが、それも近年は崩れてきているのが実情だと思います。
それは例えば水道管が耐用年数を越えてしまっているが付け替える予算がつかないとか、もうこの橋崩れちゃうYO!なんていうニュースとかも見てもインフラの老朽化と、それを補修するような社会的熱度もないというのが現状となっていて、人材の枯渇と共にこれからどんどん深刻度を増す社会問題となってくるのでしょう。
今まで当たり前に享受してきたサービスが当たり前でなくなる時代がもう来ています。いや既にその綻びは各所で噴出しています。
日本は一体どうなっちゃうのか。

技術の継承

そもそも種として老年代の個体が半数以上を占める生き物なんて歪ですよね。
例えば絹織物関連の職業なんかも後継者がいない、若者がやりたがらないというよりは若者の絶対数が足りないのでその分野にまで人が回らないというのが実情なのではないかと想像します。
そうすると織物や染物で何百年も受け継がれていた日本の宝ともいうべき技術の継承がそこでストップしてしまいます。
国や行政としてそれはそれで別にいいやってんならこの国に未来はないですよ。
コロナ騒動でもかなり明るみになってきましたが、この国の指導層のスポーツやエンタメ、伝統文化などに対する扱いの酷さは目にあまるものがあります。
学者軽視みたいな姿勢もその範疇ですね。
個人個人の技術を追求しなくてもいいし、ましてや古い技術の継承しなくてもいい、街角の飲食店がつぎたしつぎたしで守ってきた味が無くなったって全く構わない。
大企業が大量に作った全部同じ風合いの商品を安価に大量に消費さえしてくれれば日本の経済は安泰で、子どもが生まれないことによる労働力の不足は海外から安く奴隷を仕入れてくればいいや、というのが本音なのでしょう。
そして無くなってからその価値に気付く、そんなことを一体いつまで繰り返せば気付くのでしょうかね。

フェス文化を次世代に

漫画ベックで描かれるフジロックらしきフェスは創成者が運営に関わらなくなったことによって大資本が金も口も出す運営に変貌し、その理念が失われていった表現がありましたが、本家フジロックにもそのキライがあり、創成者が何らかの形で関わらなくなったらおそらく一斉に大手広告代理店辺りが参入してきて初期の雰囲気など影も形もなくなるのでしょう。
夏フェスは商売ではなく、文化なのだという姿勢だけは失ってほしくないもんです。
そしてそんなフェスなら開催すらしなくていいし、そんなのフェスじゃないですよ。
地域に根付くお祭りなんですよね最早。そこを尊重してくれないオーガナイズになることだけは勘弁してくだしあ。
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