ブラーとは90年代のUKシーンに良くも悪くも最も影響を与えた最重要バンド。活動休止を経て再結成した夏フェスに置いて映える鉄板バンドです。

ロゴス(LOGOS)

ブラーは単なるアイドルバンドではありません

出演回数:3 回

  • サマーソニック / Summersonic >> 2 回
  • フジロックフェスティバル / FujiRockFestival >> 1 回

イギリス的なものとは何ぞや

90年代初頭~半ばの英国の社会事情を知りたいのならブラーとオアシスの対立という側面から論じることが出来るのではないでしょうか。
双方ともよりイギリス的な音世界を求めながらもその手法は対立していて、イギリスを長年形作っている、というかイギリス社会の基礎ともいえる階級社会の対立の縮図をそのまま持ってきているのであります。
この辺の機微は表立っては階級が判別しない社会の日本では理解しにくい部分ではありますが(みんな一緒でみんな楽しい♪)改めて社会構造が身分の固定を基本とする大英帝国を感じさせるものですわね。
(とはいえ日本も格差社会が身分の固定を助長してきているので将来的には似たような音楽が出てくることをここに予言しておこうかなと)
この状況を打破するにはサッカー選手になるかロックスターになるしかないと断言するオアシス勢に比べ、いや道はいくらでもあるで!とのたまう中産階級の意識の差が音にあふれているように思います。
どっちも時代を代表する今後の数十年影響を与え続けるような名盤を連発していますが、没落した大国が拡大路線を止め小さな福祉国家として諦念を是とする国の姿をきちんと抉り出してるのはブラーなんですね。
このマインドの熟成がいつまで経っても英国がクラブ単位ではなくて国単位でフットボールの世界で頂点を取れない原因のひとつになっているのではないでしょうか、と分析しますがそれはまた別の機会に。
個人的にはビートルズやストーンズを祖とするオアシスよりもWHOのウェット感を色濃く受け継ぐブラーの方がおそらく後世の評価は高くなるはず。
雨後の竹の子のように出現したブリットバンドのせいで文字通り曖昧なシーンになってしまいましたが、英国的なもののあの時点での総括は必要な作業で北米の市場に尻尾を振らない姿勢は以後のイギリス人に大きな影響を与えたのではないかと思います。
それは音楽に限らず映画だったり他の表現にも浸透していくのでありました。
それを英米の乖離といえばそれまでですが、80年代に主流だったどっちの国だか分からないような音が混在している状況よりかは取捨選択が容易で、傍から見てる分には都合がいいといえます。
イギリスがEUから離脱した流れもこれの延長線上にあるのではないかとすら思います。
それこそヨーロッパ国なのかイギリス国なのか曖昧(Blue)な精神を断ち切りたいと国民が考えたとしてもその流れは止めることが出来なかったのではないでしょうか。ある意味ブラーのせいで。
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