ブラックボトムブラスバンド~問答無用!演奏が始まった瞬間になにもかもを咀嚼できる説明のいらない揺るぎない音楽性。つ、つええと言わざるを得ません。

ロゴス(LOGOS)

夏フェスの始まりを告げるバンド

出演回数:6 回

  • フジロックフェスティバル / FujiRockFestival >> 2 回
  • ライジングサンロックフェスティバル / RisingSunRockFestival >> 2 回
  • 朝霧JAM / AsagiriJam >> 1 回
  • サマーソニック / Summersonic >> 1 回

すべてはここから始まった

夏フェスの始まりのバンドなわけですが、といっても降りしきる雨の中の最悪で最高のスタートだったわけですがフジロックの何たるかがここでこの瞬間に決まったのではないかと後から振り返ると強くそう思います。
遂に日本にもこういう時代が来た!と。そういう意味でこのニューオリンズスタイルのいわゆる日本、極東アジアのローカル地域では決してメインストリームではないが世界中で愛好されるスタイルのバンドが日本にいたことは僥倖だったのではないかと思う次第です。
あまりなじみのない音楽スタイルではありますが、何故かあのロケーションにハマっていることだけは分かるという幸せな瞬間。
ベタな言葉で表現すると場のヴァイヴが練り上げられるというか、これこそ正にフェスの醍醐味。知らない音、バンドであればあるほどそこに立ち会えたことの奇跡に心が震えるという構造なわけです。ああ厨2病全開の表現になってしまったw
管弦楽器が成せる業なのかは分かりませんが渋さにも通じる初見の老若男女をも虜にさせるステイタスに全振りのアクトがこのブラックボトムブラスバンド。
ニューオリンズという言葉から感じられるある種のアイロニーはジャズやブルースを飛び越えひとつのジャンルとして確立しているといってもいいでしょう。
元は葬式の際に楽器を持って行進することが原点の形式であり、その成り立ちからしてもエモーショナルな部分が重要なことは分かるというもの。
ゴスペルなんかもそうですが、日本人の感覚では厳粛な雰囲気で行われがちの冠婚葬祭からこういった「音楽」が派生することが黒人音楽の特異性とでも言うべきでしょうか。
そういった基礎知識はなくとも祭りだ!祭りだ!べらんめえにとても似合う音楽であることは間違いありません。
80年代から地下で蠢いてきたシーンで醸成されたリスナーとしての日本人は、まだこの90年代半ばでは頭空にして盛り上がるような人種ではなかったはずですが、そこはええじゃないかの遺伝子が残る我々ですよ。
夏フェスが創った最大の功績がやっと「知らない」とか「聞いたこともない」アクトでも瞬時に判断してその場にふさわしい振る舞いが出来るようになったことなんですよね。
フジロックでも毎年必ずいるようななんだか知らねえけど見たらアホのように盛り上がるアクトで楽しむ術をようやく身に着けることが出来たのでした。その雛形のようなバンドが日本に数多くいることを知らしめただけでも夏フェスがあることに意義があるのではないでしょうか。
さて1997年にフジロックのステージに立った彼らですが、少し時間が空いて2004年のサマーソニック、新設されたビーチステージのこれまた一発目に演奏しました。
こういった雰囲気重視のステージで方向性を決定づけるために必要なバンドであることの証拠なのかもしれません。重要。
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