上原ひろみはジャズの枠に捉われない活動でもって日本に収まりきらないほどの破格の才能を持つ「ジャズピアニスト」です。

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上原ひろみ!夏の野外フェスとの親和性の高さ

出演回数:9 回

  • フジロックフェスティバル / FujiRockFestival >> 6 回
  • ライジングサンロックフェスティバル / RisingSunRockFestival >> 2 回
  • サマーソニック / Summersonic >> 1 回

国内と国外の知名度の乖離際立つ

世情的に仕方ないとはいえ上原ひろみの日本国内と海外とでは日本の方が知名度が低い悲しさがありましてん。
東京オリンピックでの演奏も記憶に新しい彼女ですが、某所の実況を見てみても一瞬誰?の空気、一部愛好家に指摘されて初めてあぁ有名な人なのねとなるという。
本人が成し遂げてきた功績を考えると悲しくなるような感情しかありません。
その経歴は破格で契約自体が海外主導というもの。むしろ逆輸入という形で日本に情報が入ってきていた状態であり、気づいたら世界レベルのミュージシャンであったという恐ろしさすら感じるものでありました。
目ざといジャズファンの間では有名であったものの、初期段階での日本での知名度は必ずしも芳しくなかったのでありました。
これが90年代以前の海外で評価されたものは問答無用で上位概念であるという神話の時代だったとしたなら、もっと状況は違っていたのでしょうがそれはそれで傾向としては良きことなのかもしれません。
その存在が一般の音楽ファンにも知れ渡った契機となったのが2005年のフジロック出演でした。
オレンジコートというメインカルチャーのロックやヒップホップからは逸脱したワールド系のアクトが多数出るステージで圧倒的演奏力を見せつけ、頭の固い(自分のような)ロックファンをもノックアウトしたのでした。
ジャズというよりもはやプログレというべきその音楽性と圧倒されるパフォーマンスを目の当たりにし、破格の才能をロックファンに植え付けたのでした。
今となってはあんな小さなステージで見られたのは奇跡のような瞬間であったと思います。
2012年の再登場となったフジロックではどちらかというとロック寄りの知名度があるサイモンフィリップスとアンソニージャクソンとトリオを組むなどジャンルの枠に捉われない編成で挑戦的な姿勢を見せつけました。
両ジャンルは元々親和性の高さがありましたが、それでも刺激的な融和がそこにあったように思います。まるで有史以前にそこにあったかのような自然さで苗場の夜を彩り聴衆を熱狂の渦に巻き込みました。
そして遂に2015年のフジロックではグリーンステージに到達。広さを感じさせない濃密な演奏力でもって場の空気を支配することに成功しました。
個人的にはサイモンフィリップスのドラムが斜め後ろから見られるステージの配置だったのでその超絶テクが後ろから見られて悶絶ものの瞬間となりましたw
ここでは細かいキメの嵐のような3人での演奏なわけですが、アイコンタクトなど一切なく、音的な分かりやすさでのキューもなく一糸乱れぬ演奏力はもはや化け物の演奏会のようでこれこそが最新型ロックなのではと畏怖の念すら覚えるほどのステージとなりました。凄すぎ。
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