安定のフジロック2013
2010年代も中盤に差しかかりそろそろ時代を映す音楽的な傾向も見え始めてきた2013年。国内では相変わらずおまけ商法のCDの売り上げしか話題にならない、ネット社会こうなるよねと予想されていた展開が繰り広げられていたわけですがレコード業界には受難の時代となりました。まそれは現在も継続しているわけですが。
なんといっても不幸な時代だなと痛感するのは2013年を生きる世代間共通の誰でも通じる流行歌が一切ないということです。
世界的に見ても分断が進む社会の病理がこういうところからジワジワと広がっていくんですね。
このころの日本において唯一共通した思いは未曾有の自然災害に対する畏怖の念だけなのですから。まあそれがあるだけでもある意味幸運なのかもしれません。
おかげで前年の暮れには政権が吹っ飛び目出度く自民党が元のさやに納まるわけですが、コロナと同じで津波や原発の事後対応は日本に生きる誰がやっても同じ道を辿るしかなかったのではないでしょうか。
結局誰が貧乏くじを引くかお楽しみでしかないというそこはかとない絶望感がこの時期の日本には支配的な心情だったのだと思います。
世相のカウンターカルチャーであり続けることがフジロックの存在意義だと勝手に思う次第ですが、さすがに時代が進むと主催者の思い通りに行かないことも多々あるのでしょう。
ロック的な文脈からは逸脱していないナインインチネイルズがトリを務めた金曜日にはセカンドステージトリには昨今隆盛となってきたEDMのスクリレックスが初登場ながら重要ポジションに配置され、裏のレッドマーキーでは新世代の雄テームインパラがトリとなりました。
最終日のホワイトステージではXXが2度目の出演でトリを務めるなど新しい潮流が生まれつつありました。
ロック的な流れの中には当てはまらない以上のようなバンドやユニットがしっかりとブッキングされ新たなフジロックの姿が顔を見せつつあったのがこの2013年の特徴なのかもしれません。
既に世界中で大人気、どんなフェスでもトリ近辺に配置されるくらいながらも日本ではイマイチ爆発しないマムフォード&サンがメインステージのトリ前のさらに前になるなど少し疑問形と日本国内の認識との乖離を感じさせる部分もありますが、これは必要な痛みなのかもしれないな、と当時は考えたりしました。
今や彼らをこの位置に置くことは全くもってナンセンスですからね…もはや来日さえ叶わないかもしれませんがw