トータルファットは世代を代表するメロコアバンドで夏フェスとの親和性も高く、その長い活動の中で毎年のように参加し続ける鉄人級の体力を持つバンドです。

ロゴス(LOGOS)

Totalfat~メインを張らずとも強力存在感

出演回数:32 回

  • カウントダウンジャパン / CountDownJapan >> 12 回
  • ロックインジャパンフェスティバル / RockInJapanFestival >> 11 回
  • サマーソニック / Summersonic >> 9 回

この世代のメロコアを背負うバンド

結成が99年で主要フェスに名を連ねるようになったのは2008年頃からと初期は少し上り詰めるのに苦慮した感がありますがそれでも2016年には海外のバンドも多数参加するパンク系のフェスでトリを務めるなどその評価は最大限にまで増しています。
その間国内大小のフェスに出ずっぱりとも言っていいほどの頻度でその名を見ることも多く、この世代(80年代後半生まれ、でしょうかね)を代表するメロコアを飛び越えたジャンルを越えたバンドであると表現できます。
その音の質感は性急なリズムにかなり技巧派を匂わせるメロディックなギターフレーズが絡み、更に美メロという正に日本で醸成されたパンクバンドのエッセンスがふんだんに効いたバンドとなっています。
かつてはギター2本でしたがやはりというか偏見というかスリーピースがずっぱまりで安心感のある編成。余計な音が削ぎ落されて剥き出しになった感がより日本独自進化のパンクバンドの趣となっています。
かつてのロンドンパンクとはかけ離れた独自さが売りなわけですが、この世代で一段落ついてしまい後世にイマイチ引き継がれていないという問題が今噴出しているのは見逃せないところ。
00年代のサマソニのラインアップを眺めていると国内外問わずのパンクバンドを集めたステージがあったほど隆盛でしたが、日本でも北米でもこういったバンドのメジャーどころの新世代は皆無という悲惨な状況になっています。
その責任を前世代のバンドやリスナーが負うのはしんどいところですが、やはりどこかに構造的問題があったのではないかと思いますね。
トータルファットも素晴らしい演奏力ですが、果たしてそれをパンクにカテゴライズしていいのかという根本的な問題。オルタナという都合のいい言葉が当時から浸透していたのだからオルタナ系のメロディックハードコアバンドで良かったのです。
パンクというイメージのみの言葉はある種の若者イメージを想起させるには素晴らしくハマる反面、もはや音楽のジャンルに留まらない神秘的な響きすら獲得している言葉でもあるのです。
もはやパンク的なアティチュードはロック音楽にだけなくて絵画だったり漫画だったり小説だったり映画だったり各方面に散らばっていき各種芸術を引き上げる概念となり、パンクロックだけが陳腐な響きとなってしまいました。
そういう雰囲気を本能で感じ取ることには長けている若者世代がこの手の音楽は自分達の置かれている立ち位置をきちんと表現しているものではないとはっきりとNOを突きつけているのでしょう。
当時から既にその世間の匂いとはかけ離れてしまっていたポップパンクだったり青春パンクなどといった言葉と音楽は既に歴史の狭間に落ちて行ってしまったのでありました。
Number55